それでも、頑張るしかない

地獄でなぜ悪い フィクション

私はAIになりたい

仕事はもう無理だが、自殺する勇気もない。じゃあ、仕事をやめて自殺しなければいいと思うだろう。仕事を辞めても、貯金も50万円しかないから、失業保険を考慮しても、すぐに仕事を探さないといけない。また面接して、再び働き始めるなんて、とても精神が耐えられる気がしない。今の会社の人からは、すでに無能と思われているのでいいが、新たに無能と思われたくない。劣等感を、これ以上味わいたくない。新たに仕事を一から覚えられる気もしない。

だから、無理な仕事を続けるしかない。それが一番マシな選択肢ということになる。無理な仕事を続けるのは、矛盾しているのだが、矛盾しながら突き進むしかない。能力主義社会において、社会福祉の網に引っかからない程度のレベルで能力が低いものには、矛盾するしか選択肢がない。俺はその矛盾を10年続けてきた。しかし、まだその矛盾が解ける気配はない。社会に適応できたように思える日は、1日もない。毎日屈辱を感じている。

自殺する勇気がないと、えらいことになる。そもそも、私は超不器用なので、自殺すらまともに決行できる気がしない。失敗して後遺症が残ることも、充分に考えられる。

私は明日も、仕事に向き合う。仕事に向き合うのは、自分のできなさに直面することになるので、結果的に自分と向き合うことにもなる。

私はもう、AIになりたい。何も感じたくない。