私は大学生の頃には、自分が完全なる社会不適合者であることを、確信していた。アルバイトだったり、今までの経験から、100％仕事ができないということが、分かっていた。多分自分は、仕事についてもまともに仕事を続けられないだろう。私は一般的でない仕事で夢があった。それを追いたかった。
しかし、それと同時に、世間的には大したことなくても、自分が今まで勉強を頑張って来たという自負があった。高校受験、大学受験と勉強し、大学も留年せず卒業できそうだった。勉強を頑張って来たのは、いいところに就職したかったからだ。
まともに仕事ができないと確信していても、まだ社会人をやってもいないのに、今までの自分の頑張りを不意にするのは、過去の自分に対して、あまりにも申し訳がない気がした。そもそも、どうやって生活するんだ。とりあえず試しに就職して、それで駄目なら夢を追おうと思った。一応、新卒カードとやらを、使って見ようじゃないか。
結局、就活をし、普通に就職した。結果は、まったく仕事はできなかった。私の確信は合っていた。ほとんど全ての能力において、一般的なレベルに大きく達していなかった。でも、私の誤算は、私のメンタルが意外に強かったことだ。耐久性があった。ごちゃごちゃ言いながらも、言われながらも、なんとなく仕事を続けることができてしまった。
で、仕事を続けて10年経過した。夢は、幸いというべきか、残念ながらというべきか、追わずに済んだ。仕事は、常にアップアップの状態だが、どうにでもなれという気持ちでやっている。これを失敗したら仕事をやめようという気持ちでやっている。自殺しようという気持ちでやる。で、大抵失敗するが、それでも仕事はやめない。自殺もしない。これが私なりの、捨て身の仕事術だ。
